韓国映画の記念碑的作品。本作からすべては始まったという感慨の強い名作。
キャストもハン・ソッキュ、キム・ユンジン、チェ・ミンシク、ソン・ガンホと超豪華。
そして当時の韓国映画史上最大のバジェットの多くを割いたプロップガンを使ったリアルな銃撃戦の描写が目を引く。
銃撃のリアルな迫力に加えて追跡シーンからのターゲットへの接近までの一連のカメラワークのカッコ良さが本作の映像的カタルシスとして象徴的。
やや繰り返し繰り返し行われるのでやり過ぎる感は愛嬌。
また完全にハリウッド映画を意識した作劇や展開を再現することに注視して、オーソドックスな物語を王道的に語るだけの技術的高さがリアリティを高めているのに成功している。
加えて、スパイでありスナイパーでもあるミョンヒョンことイ・バンヒ（キム・ユンジン）とジュンウォン（ハン・ソッキュ）の恋愛模様のドラマの厚み。
日常描写のやり取りに巧みな伏線が張られている点も見事。
パク・チャヌク作品などにも通じる会話劇の面白さがある。
これもラストではやや過剰にウェットな展開を畳み掛けているのは少し残念だが充分に切ない恋愛ドラマになっている。
全体を通して、当時の技術的状況を踏まえても、面白く観ることができた。
