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ガートルード/ゲアトルーズのKOUSAKAのレビュー・感想・評価

4.5
シネマメンバーズにて、カール・テオドア・ドライヤー監督の4作を一気に鑑賞。

超絶傑作の『裁かるゝジャンヌ』(1928年)から時代順に見ていって、最後は1964年の遺作『ゲアトルーズ』です。

『裁かるゝジャンヌ』『怒りの日』『奇跡』は、いずれも魔女狩りやキリスト教への信仰というテーマが共通点でしたが、この『ゲアトルーズ』はそういう意味では少し異色で、愛を求めて苦悩する女性の魂の渇望が描かれています。あ、でもそう考えると『怒りの日』と共通する部分もありますね🤔

ロメールの「四季の物語シリーズ」に出てきそうな、老いの哀愁を帯びた男女の会話劇というのが最大の魅力で、しかもすれ違い続ける男女の心情を象徴するかのように、互いに目を合わせて話すことがほとんどないので、現実的でリアルな会話劇に見えて、どこか作りものの夢世界のような独特の浮遊感覚もあるのが、この作品を唯一無二のものにしている要素だと思います。

「今夜、僕の人生は引き裂かれた、誰よりも愛した人が、若造(エアラン・ヤンソン)に罵られたのを見て」と言って、ガブリエルが泣き出すシーンは、ホントに子供みたいに泣きべそかき出す姿があまりに滑稽で、爆笑してしまいました😆

でも、登場人物たちがどこか美しい彫刻のように完璧すぎるが故の「冷徹さ」みたいなものを感じさせるシーンが多い中で、ただただ泥臭い人間味を感じさせてくれる貴重なシーンなので、個人的には大好きです。

そして最終的に一人で生きることを選び、年月を刻んだゲアトルーズのもとに、アクセル・ニュグレンが訪問するラストのくだりは深い余韻が胸に刻まれます。

沢山の苦しみや過ちもあったけど、それでも「愛がすべて」と墓標に刻もうとするゲアトルーズの姿に、孤高の美しさを感じました。16歳のゲアトルーズが書いた詩、アネモネの花・・・ああ、乙女心よ、永遠に!!😭
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