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ガートルード/ゲアトルーズのodyssのレビュー・感想・評価

2.0
【ヒロインに魅力なし】

デンマークの映画監督カール・テオドア・ドライヤーの映画が昨2022年にデジタル・リマスター版で何作か上映されました。これはその一作で、モノクロ、1964年公開。

しかし、それらの中ではいちばんつまらない映画じゃないかな。
ゲアトルーズ(英語読みでガートルード、ドイツ語読みでゲルトルート)という歌手でもある中年女性を描いています、

彼女は近く大臣になる予定の政治家を夫にしていて、経済的には何不自由なく暮らしていますが、夫に愛情を感じられず、若い作曲家に入れあげており、近く夫の家を出て同棲しようと考えています。一方、かつて彼女と一緒に暮らしていた詩人が、ヨーロッパ全体で名声を博して故郷に凱旋してきます、パーティの席上、彼女は詩人と久しぶりに再会して、改めて求愛される。

というわけで、ヒロインは夫、若い作曲家、かつて同棲していた詩人と、三人の男性に囲まれてモテモテなのです。

しかし、それほど魅力的な女性には、私には少なくともなんですけど、見えないんですよねえ。

まず、容姿的に言ってヒロインを演じている女優は美人でもなければ、若くもない。

つぎに、ヒロインの性格ですけど、どうにも自己チューで、夫の思いやりや昔の愛人である詩人の善意は足蹴にし、他方で年上の女性と遊んでいるだけの若い作曲家の真意は見抜けない。

・・・つまり、どうしようもない女が、ヒロインのゲアトルーズなんですよ。
こういう女を描いた映画が、魅力的になるはずがありません。
そういうヒロインに距離をおいて批判的に描いているのかというと、その辺も微妙。
だから、いっそうつまらない。残念でした。
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