ピロシキ

ガートルード/ゲアトルーズのピロシキのレビュー・感想・評価

3.5
誰かを愛することによって苦しみ、裏切りを味わい、失望し、遂には孤独になる。それでも人は愛を求める………彼女が最も強い愛を向けた先は、結局のところ彼女自身だったのでは、などと思ってしまったりもしたが、実際それこそが人間の真理なんだろう。

『奇跡』を経たことで、カール・ドライヤーの描く物語に対して何やらもっと崇高なものを勝手に求めてしまったせいか、あまり大きな感動は得られなかった。しかし、ラストショットはやはり印象的だった。独りの部屋の扉を閉める彼女の表情が、最後の最後まで「私を愛する私を、愛して」と言っているように感じられた。なんだか苦い幕切れだった。
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