C

ガートルード/ゲアトルーズのCのレビュー・感想・評価

4.0
大半がワンシチュエーション会話劇の中で、視線の交錯とか動きとかにかなり厳密に撮られてて、確かに様式美は今までと変わらずある。ただ、「中世的な信仰と個人」から「近代的な抑圧と個人」にテーマが変わってるのに、テンポが鈍重で、少し冗長に感じた。
けれど、時代も年齢も進んだラストシーンでの軽やかさと、個として自由と孤独を合わせ持ちながらも凛として生きている佇まいの表現が卓越してて、前半とのギャップにすごく心を打たれた。モノクロでカメラワークもそこまで変化がないのにこの違いを出すのがすごい。

自分自身が老いる中で、過去作とは大きく変わるメッセージを時代に合わせた適切なトーンで表現して、それが結果的に遺作のラストシーンになるのはできすぎ。
「静謐な老いに必要なのは愛と死」というメッセージと閉まった扉のショット。
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