TATEO

ガートルード/ゲアトルーズのTATEOのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

 新年早々とてつもない映画を観てしまった……。何よりまず、モノクロの画面が美しすぎる。今まで観たモノクロ映画の中で一番きれい。照明も構図も、ものすごく巧みで凝っているからだろう。映画は光と影の芸術というのもむべなるかな。男と女は分かり合えないというテーマは散々使い古されてきたものだけど、このレベルの強度で表現されるとただただ圧倒される。フェリーニの『道』や成瀬の『浮雲』と同じ種類かつ同じレベルの傑作。男と女の視線はほぼ交わらず、しばしば正面を見つめる女の虚ろな目は、まるでなにかに憑かれたようで、自分の理想を幻視しているかのよう。心理学を学びにガートルードが旅に出るというのは、盲目の愛に爛れた自分の心を見つめ直そうとする試みだったのだろうか。最後の暖炉を背景に見つめ合う男女の図を目の当たりにしたときはもはや放心状態だった。
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