ベアー

ベニーズ・ビデオのベアーのネタバレレビュー・内容・結末

ベニーズ・ビデオ(1992年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

普段は特典映像とか観ないんだけど、何となく見たインタビュー映像がとても良かった。

・この映画を撮った契機は「どんなもんかと思って」。
・実際にあった事件で、ある少年が別の少年を殺した時、理由をそのように答えたことに衝撃を受けた。それは現実と関わりを持てない人間の言葉だ
・人はメディアを通して人生を知り現実を知る。そして欠落感を覚える
・もし映画しか観なければ現実は映像でしかない
・ベニーにはビデオで現実を集めることで物事をコントロールできるという幻想があると思う
・それは危険な幻想だ
・バカンスに出かけてビデオを回すのは何故か。それは映像を撮ることで対象を所有しているから。
・馬鹿げた幻想だがとても強烈な欲望でもある
・人はメディアを通して世界を見ている。だからメディアを通して観たものだけが現実だと信じ込む危険性がある
・実際は正反対だ(実際は現実の一部分しかメディアは映していない
・映像に対して幻想を抱くのは構わない。映像は反応しないから。だが人間に対しては許されない
・例えば、ホラー映画は驚くことがあっても自身に危険は及ばない。だから楽しむことが出来る。
・だが、現実で映画のような事をするととても危険。それが「ベニーズ・ビデオ」だ。

以上、ハネケインタビューの序盤の書き出し。
以下はただの感想

ベニーは窓からの景色でさえも映像に納めていた。物事を全てコントロール出来るという妄想があったとするなら、非常に危険な状態だったのではないか。

「どんなものかと思って」一人の女性を殺してしまうベニーは現実感が明らかに欠落している。彼は豚の屠殺映像を繰り返し観ていた。ベニーはその映像と同じ事をしたらどうなるのか試してみたかったのではないか。「どんなものかと思って」。

最後、ベニーが自首して映画は終わるがそれも同じ理由だったのではないか。反省するわけでもなく罪の意識に苛まれたわけでもなく、自首したら何が起きるのか。両親はどんな反応をするのか。それを試してみたかっただけな気がする。

ベニーは極端な例だし、そもそもこれは映画に過ぎない。でも多かれ少なかれ人々は危険な幻想を抱く危険性があるのではないか、その警告をしているように思った。

あとベニー役の人、坊主にして思ったけどファニーゲームにも出てた?と思って調べたら出てた。思いっきり出てた。アイツだった。ハネケってなんとなく同じ役者使わないイメージあったのでちょっとだけ驚いた
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