爆裂BOX

パーフェクト・クリーチャーの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.8
錬金術が発達し産業革命が起こらなかった世界。突然変異で誕生した吸血鬼達はブラザーと呼ばれ、疫病から人間を守る守護者となっていた。300年ぶりに吸血鬼が人間を襲う事件が発生し、人間の女刑事リリーと吸血鬼の神父サイラスが捜査にあたる…というストーリー。
「デモンズ2001」のグレン・スタンドリング監督によるスチームパンクSFアクションです。
自らの弟でもある人間を襲う吸血鬼エドガーを、兄であるサイラスはリリーと協力して捕らえるも、脱走したエドガーは恐ろしい企みを実行に移そうとするという内容です。
吸血鬼と人間が共存する世界という設定の作品は少なからずありますが、本作は産業革命が起こらず錬金術が高度に発達した世界が舞台で、中世と現代が混ざったような都市や上空を飛行船が飛び交い、蒸気が噴き出すスチームパンク臭漂う世界観が魅力的です。
本作の吸血鬼は突然変異の奇跡の新種であり、男性しか生まれないそして生まれてすぐ教会「ブラザー」に引き取られ、血を提供してもらう代わりに人類を守護し、奉仕するという設定です。
そんな中、300年ぶりに人間を襲うヴァンパイアが出現し、主人公であるヴァンパイアサイラスと女刑事リリーがサイラスの弟でもあるヴァンパイアエドガーを追います。
ダグレイ・スコット演じるサイラス神父が最初は無感情に近かったのが、リリーとの出会いを通じて段々と感情をあらわにしていくのが良かったですね。何かある度に首傾げるのもサイボーグっぽい。
エドガーも邪悪さが漂っていて悪役として個人的にはOKでしたね。動機は中二病こじらせたみたいな感じだったけど(笑)
リリーを演じた「ディープ・ブルー」に出ていたサフロン・バローズも美人で良かったです。9頭身のモデルだけあってスタイル凄い。
予告やジャケットではSFホラーアクションを謳っていますが、アクションは最初の方と後半だけで殆どないです。アクションも派手な銃撃戦とかじゃなく地味な格闘戦ですが。
ホラーとしても怖いシーンは無いですね。ゴア描写も全然ないです。
それほど盛り上がるシーンもないですが、不思議と飽きることなく見れましたね。脱走したエドガーが自分の血を撒き散らしてパンデミックを引き起こす後半は結構盛り上がりましたが。
クライマックスのサイラスとエドガーの戦いは始まったと思ったら結構アッサリ決着つきましたね。交互に描かれる拘束されたリリーの戦いはちょっとハラハラしたかな。
ラストはいかにも「続く」という感じで終わってます。続編あるのかな?エドガーの行動が結果的に「奇跡」を生んだのが何とも皮肉ですが。ベランダに立つサイラスを捉えたラストショットがグラフィックノベルの一コマのようでした。
ホラーやアクションを期待すると期待外れになると思いますが、その独特の世界観と映像は一見の価値ありかと思います。