イチロヲ

アラン・スミシー・フィルムのイチロヲのレビュー・感想・評価

2.5
お蔵入りにされたブロック・バスター映画の顛末を追っている、フェイク・ドキュメンタリー作品。アーサー・ヒラー監督の意図に反する編集が施されているため、本作のクレジットもまたアラン・スミシー名義になっている(ややこしい!)。

アラン・スミシーとは、クレジット名を偽装するときに用いられる、架空の人物のこと。本作では「もしもアラン・スミシーと同名の監督が実在していたら」をモチーフにしながら、多くのハリウッド・スターに対する、偽インタビューが繰り広げられる。

不条理ギャグを拵えようとしているのは分かるのだが、アランに翻弄されている感覚が希薄であり、台詞回しのレトリックも寒いものばかり。終始ボーッとした鑑賞に支配されてしまい、話の流れが頭に入ってこないという難点あり。

強いて言えば、映画製作の暴露話をリアルに示唆する場面と、黒人監督を雇用するシークエンスが及第点。また、日本語吹替版の声優陣が無駄に豪華なところも注目点として挙げられる(ただし、アラン役のエリック・アイドルは、広川太一郎ではない)。
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