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ワンダーガールズ東方三侠のnetfilmsのレビュー・感想・評価

ワンダーガールズ東方三侠(1993年製作の映画)
3.8
 現代の香港、ある暗殺帝国一味による秘密皇帝養成計画が極秘裏に進められていた。彼らは幼児を連続で誘拐し、皇帝の生贄として献上し、秘密皇帝を育成しようとしていた。子供を誘拐された両親の避難が香港警察に殺到し、頭を悩ませる中、今度は警察本部長の息子までもが誘拐される羽目に。その危機を救おうと、ある刑事の妻トントン(アニタ・ムイ)が立ち上がる。今作は特殊な超能力の使い手である3人のワンダー・ガールズの物語である。主人公は超能力の使い手であるという事実を刑事である夫に隠しながら、夫の仕事を密かにサポートしている。時には『スパイダー・マン』のように電線を張り、ビルの屋根をつたい、時にはあり得ないスピードでバイクを運転する。この偉大な特殊能力を持った主人公が、赤ん坊を誘拐する組織にたった一人で立ち向かう。しかしその過程では、主人公の幼少期に生き別れとなった2人のワンダー・ガールズと再会を果たす物語が伏線として出て来る。しかも1人は敵側につき、博士と愛人関係を結んでおり、もう1人は難事件に絡む一匹狼の賞金稼ぎであり、警察本部長に金で雇われ、事件を一人で解決しようとしている。案の定、3人は何の因果かそこで出会ってしまう。出会った瞬間、主人公であるアニタ・ムイとミシェール・ヨーは気付いてしまう。

 インフレ気味の物語をギリギリまで詰めて、畳み掛けるようなアクションのつなぎが実に見事である。冒頭の赤ちゃんの誘拐現場から、続く病院内での戦い、そして敵のアジトでの不死身の男との戦いから、敵のアジトでのバイク・アクションまで実に見事で息つく暇もない。その中でも特に素晴らしいのはバイクでの暴走の後、地雷だらけの道をギリギリで避けながら、敵のアジトへと侵入する場面であろう。バイクは横滑りしながらそのまま宙を舞い、クルクルと旋回したまま敵の方面目掛けて飛んで行く。その飛んで行った先の壁から、突然列車が壁を壊しながら侵入してくる。透明マントを被り、透明になったミシェール・ヨーとの対決の場面も印象に残る。クライマックスのなかなか死なない化け物のような男を溶鉱炉に落とし、その後肉体が果て、サイボーグのようなミイラ状態になったラスボスとの戦闘の場面は、『ターミネイター』の無邪気な模倣に他ならない。チン・シウトンお得意のワイヤー・アクションに、『プレデター』や『ターミネイター』などのハリウッドの方法論を取り込み、本筋とは別に、主人公と刑事の愛、3人のワンダー・ガールズの再会のエピソードを首尾よく盛り込み、90分以内に収めたジョニー・トーの職人芸は今観ても素晴らしい。
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