Toineの感想文

裸のチェロのToineの感想文のレビュー・感想・評価

裸のチェロ(1974年製作の映画)
3.7
【こじらせ旦那と美しい妻の倒錯劇場】
ラウラ樣がご出演されたディスクをコレクションしたく思い「ラウラ・アントネッリ 70年代未公開官能作 トリプルBOX」と迷いに迷ってこちらを購入いたしました。

女体とチェロの曲線美。
ジャケットのチェロをラウラ様の身体を隠すモザイクとして活用してるのが最高に良き。
しかもぎりぎりを攻めてるw

以前感想文を投稿いたしました「ヒッチハイク(1976)」を撮ったカンパニーレ監督の作品だったのだとディスク購入後に気が付きました。
監督の映画はオチが私好み(エグい)ので今作も期待値が高まります。
内容はエロコメディと聞いていたのですが、倒錯、露出、そしてNTR要素ありの変態ホラー映画でした。

「ヒッチハイク」でもNTRシーンがありましたしカンパニーレ監督の性癖がストレートに投影されており、何というか監督の性への開放的な考え方みたいなものが垣間見えました。
他の方もレビューしておられます通り谷崎潤一郎先生の小説「鍵(1956)」のオマージュを感じました。
監督流に「鍵」を映画化したらこうなったんかな?
同じくイタリア人監督のティント・ブラス監督も「鍵」を映画化されていたのでイタリアの方も好まれる文学なのでしょう。

夫が夢の中でラウラ様の女体をチェロに見立てて演奏したりオーケストラの指揮者に合わせて尻ドラムするカットが面白すぎるw
同僚だけでなく妻からも名前を忘れられる存在感の薄さに苦悩する夫もシュールで笑えました。
が、だんだん妻への要求がエスカレートして行き笑えない展開に…。
夫や周囲の男性陣のデリカシーの無さや妻の気持ちを完全に無視し自分の欲求を満たそうとする夫の身勝手さが完全に人怖ホラーでした。
夫がどんどん壊れてキモくなって行くしゾッといたしましたわ。

ラストシーンでラウラ様がお召になっていたワンピース可愛かったなー♡
ロケーションもオルトラーニ氏の劇伴も凄く良かったです。
美しさとキモキモ醜悪でお下品なものが合わさったカオスな作品でした。
阿呆さという抜け感もあり面白かったです。