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プロムナイトIIのmimagordonのレビュー・感想・評価

プロムナイトII(1987年製作の映画)
4.4
これは面白かった。そして怖かった。前作はスラッシャーと見せかけたミステリーで、それはそれで捻りが効いてて面白かったのだけど、今回は正攻法のオカルト・ホラー。けっこう宗教色も強く、暗くざらついた画面とともにじわじわと不穏な空気が漂っていく感じはかなりの緊迫感。メリー・ルーの怨念に取り憑かれた主人公ヴィッキーの見る幻影にも力が入っていて、中盤水を使ったシーンは今観ても遜色ない迫力だった。

同時に、保守的な価値観からの解放の物語とも受け取った。1957年、ロックンロールが悪魔の音楽だった時代、性的に奔放だったがために嫉妬で殺されたメリー・ルー。時は移って87年、敬虔なカトリックの家庭に鬱屈としたものを感じていたヴィッキーが解き放ってしまうメリー・ルーの怨念。「アメリカは自由の国でしょ」。「ロックは耐えられん、廃れるだろうね」。抑圧され閉じ込められたメリー・ルーの怨念が暴走する姿に、またもやフェミニズム・ホラーの鱗片を感じてしまったのは考えすぎだろうか。でもカナダ産ホラー、何が出てくるかわからない面白さがある。恐怖とともにドラマ性も感じさせる傑作だった。
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