菩薩

都会のひと部屋の菩薩のレビュー・感想・評価

都会のひと部屋(1982年製作の映画)
3.3
あまりにも極端かつ感情的なキャラクターと徹底的に作り込まれた虚構の中で人間本来の嫌味な部分が炙り出されていく。当然ひたすら露出狂ファッションのドミニク・サンダがいつ服を着るかに俺の全注目は向けられたわけだが、剃刀の刃は触れずとも彼女の手の甲は裂け、それは直ぐさま完治するし、入口の鍵を壊せば良いもののわざわざ天窓(?)を破って脱出をはかる。自分の運命を占いに一任している時点で「やべぇ…」としか思えないが、道端に彼女がいてペロンとされた日にゃ飛びつかない男はいないであろう(俺を除く)。彼女の夫は性的不能者でありその反動で束縛とDVに余念がない→クソ、彼女に一撃KOされる主人公も大して愛していない他の女を孕ませた挙句逃亡を計る→クソ。男の闘いが屋外で(デモ、ストライキ)、女の闘いは屋内で(恋愛、妊娠)と言うのは前時代的な気はするが、この映画で命を落とす者達は三者三様で殉教者である。メロドラマはやめてと叫びながら自らがメロドラマの主体と化していくドミニク・サンダ。最後まで「歌う必要あんのか…?」といささか疑問であったが、なかなかしょーもない話だから歌ってた方が良かったんでないかと思う。途中何度かプログレみたいになってて爆笑した。不思議な事に「映画を観たなぁ〜」との気になっている。
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