ねこ無双

青髭のねこ無双のレビュー・感想・評価

青髭(1963年製作の映画)
3.5
クロード・シャブロル監督作品。
フランスでの有名な実話を基に。
(アンリ・デジレ・ランドリューという男の事件)
シャルル・ペローの童話の方ではありませんが、そのストーリーのような事件から青髭と揶揄されたのかも。
トリヴィアですが、チャップリンの『殺人狂時代』のモデルもこのランドリューと言われてます。
今回の映画は、言われないとシャブロル作品だって私は気づけなかったと思う。

戦争未亡人などを狙い、結婚詐欺。彼の犯行は女を殺害後、彼女たちの財産を奪うことだった。
直接的な殺人シーンはないけど、獲物の女性の最後のシーンが幸せそう表情の静止画だったりするのが、なんかそこはブラック。
そしていつも焼却炉の煙突から黒い煙と悪臭が…。
この作業場はパリ郊外に実際にあって、青髭城と呼ばれたそう。

歯の浮くような情熱的な愛のセリフ、
まめまめしい愛情発露、
そして、的確に落とせる獲物選び。
日本にも木嶋佳苗のような稀代の婚活殺人者がいるけれど、この青髭もまたなぜこのような人がモテモテなのか?と言われる容貌だったらしい。

凶悪殺人鬼の話なのに、なぜか全体を包むトーンは明るい。
青髭自身もどこかコミカルな味付けでとても殺人鬼には見えない。
青髭とさまざまな女性たちの関係が次から次へと描かれるので、殺人さえなければさしづめ彼は愛の伝道者って名乗ってもいいくらい!

寸法を図るためなのか、女性の家に初めてお邪魔するなり、まず家具を愛おしそうに触ってるシーンが笑える。

シャブロルのミューズだったステファーヌ・オードランは青髭の愛人役。
劇中、オペラ歌唱を披露してます。