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プロスペローの本のKUBOのレビュー・感想・評価

プロスペローの本(1991年製作の映画)
4.0
3月2日よりシアター・イメージフォーラム他で開催予定の名匠「ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師」の特集で上映される『プロスペローの本』をご紹介。

これ以上ないというほどの豪華絢爛、摩訶不思議な『テンペスト』。

イギリスを代表するシェイクスピア俳優ジョン・ギールグッド。このギールグッドの当たり役が『テンペスト』のプロスペローで、ピーター・グリーナウェイがそのギールグッドのプロスペローを映画にして永遠に残そうと、本作を製作したとのこと。

ともかく、最初から最後まで、豪華絢爛。西洋絵画から抜け出してきたような、全裸の男女と豪華なセット。

どのシーンにもこの全裸の男女が踊っているが、その数おそらく100人以上。どれだけダンサーやエキストラを雇ったのだろう?

全裸と言っても胸だけというわけではなく、男女とも性器まであらわ。どこを取っても乳房と性器。毎度のこととは言え、ピーターグリーナウェイ作品に出るなら、俳優は全裸になることは覚悟しておかなけりゃならないらしい。

本作の特徴は、プロスペローの台詞だけではなく、全ての台詞をジョン・ギールグッドがナレーションのように読んでいること。実はこれがわかりにくくしているのだが、グリーナウェイが敬意を表してということらしい。他のキャストの台詞の時は、そのキャストとギールグッドの声がダブって聞こえる。

また、原作にはなかった「24冊の魔法の本」という設定が加えられ、よりファンタジー色の強い映像となっている。

弟に裏切られ、ミラノを追われた元ミラノ大公プロスペローが、24冊の魔法の本の力で、復讐を果たそうとするグリーナウェイ版『プロスペローの本』。

豪華過ぎるセット、原色、全裸のダンサー、全裸のエキストラ、ずっと絵画の中にいるような癖になる映像美!これはカルトなファンにはたまらない作品だろうなぁ。

『プロスペローの本』は3月2日以降、HDリマスター版にて上映予定です。
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