ちろる

プロスペローの本のちろるのレビュー・感想・評価

プロスペローの本(1991年製作の映画)
4.5
作品そのものがまるで魔術書のように、摩訶不思議な世界に囚われてしまう、ピーター グリーナウェイだからこそ作り出せる世界観。
テンペストを書くプロスペローと、本にかけられた魔力によって孤島の支配者となったプロスペローの時間が交差する。
ピーター グリーナウェイと言えば、この後に監督をしたジュリア オーモンドとレイフ ファインズを起用したとんでもないエログロ作品「ベイビー オブ マコン」をかなり若い時観てトラウマになったのだけど、こちらの作品はあちらよりはエログロ部分は控えめ。
まるでヒエロニムス ボスやブリューゲルの絵画のような、シュールかつ美しい映像が印象的。
異彩を放つ島の妖精たちの出で立ちや踊りには独特のセンスを感じずにはいられないがこの一つ一つにWHYを突きつけていくと、ストーリーに追いつけなくなってしまうので、ここははじめから感覚で体に染み込ませていこう。深く考えようとせず、台詞をありのまま受け取って、映像もありのまま受け入れて。
グリーナウェイの作り出す映像芸術は、まるで
「これ、本当に食べれるの?」っていう奇妙なお菓子のようなもので、でも食べてるうちに変てこな味なんだけどその味がクセになって、食べた後は不思議な満足感で満たされてしまう。
きっとこの人には見せたい映像が沢山あって、それが伝えきれないで地団駄踏んでいるのかもしれない、、そう思う。
万人には勧められないけど、
摩訶不思議
奇想天外
エログロナンセンス
シェイクスピア
神話
なんていうキーワードに引っかかったら是非是非お試しを。
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