悪魔の毒々クチビル

トロメオ&ジュリエットの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

トロメオ&ジュリエット(1996年製作の映画)
4.0
「おおトロメオ、どうして貴方はトロメオなの」
…ってお前が言うんかーい!!

ロミジュリmeetsトロマなお話。

今や世界的にビッグな監督となったジェームズ・ガンがトロマでロイド・カウフマンと組んで製作した長編デビュー作です。
序盤の語り部にMotörheadのレミー。彼らの楽曲"Sacrifice"も使われています。ジェームズ・ガンが作曲した曲もありました。

舞台を現代のニューヨークにしてロミジュリするも、そりゃトロマが作ればあっという間にエログロナンセンスラブストーリーの出来上がりという訳で。
オープニングから対立するキュー家とキャピュレット家の争いをゴアゴアバイオレンスに描いており、流石だなと。
ジュリエットのクズいとこをショーン・ガンが演じていますが、指切り落とされたり頭皮が捲れ上がったりととにかく悲惨な目にあっていました。身内をズタボロにしていく所はちょっとアルジェントっぽいよね。
あとジュリエットのいとこがもう一人いたり、トロメオのいとこもしっかり絡んで来たりといとこが無駄に多いです。
基本的に登場人物はまともじゃないです。当たり前か。
まずトロメオ自体、きしょい童貞感剥き出しでアダルトゲーム(?)で物凄い表情で虚しく抜いている所なんか普通にキモい。
トロメオとジュリエットを助けてくれた神父もあの二人からしたら恩人であれど、中身はとんだペド野郎ですし。
ジュリエットの変態パパもキモい。そしてラストバトルでは異常にしぶとくて尚キモい。

そもそも本家もざっくりとした内容しか知らないので、どこまで一致しているのか気にはなりますね。

因みにどこかのタイミングで字幕が「トロメオ」じゃなくて「ロメオ」になっていましたが、多分普通に間違えたんだと思われまする。

今回はちゃんと元ネタがあるので、割としっかりラブストーリーしているんだけどいちいちトロメオやジュリエットの台詞が戯曲っぽい言い回しになるのが良い意味で鼻につきます。
二人の初SEXをジュリエットに想いをよせるお手伝いのお姉さんが涙ながらに見守る所とか、とても切ないじゃないですか。勿論泣きませんでしたよ。

仮想パーティーのシーンでは毒々モンスターのコスプレしている人がいたり、トロメオの部屋とかにトロマ作品のポスターが飾ってあったりと内輪ネタも沢山。
あと精肉工場で見つかったあの生物は何だったのか。

しかしまぁ、あの悪趣味ハッピーエンドを始め、改めてジェームズ・ガンのこういうセンスって本来全く一般受けするようなモノでは無かったんだなと思いました。
でも予算が莫大に増えて扱う題材も変わると、ある程度ブラックな部分を残しつつも世界中で大ヒットするような作品も手掛けられちゃう辺りは相当バランス感覚良いよね。

これでも充分ぶっ飛んでいるんだけど、トロマはまだまだエグくてふざけた作品が多々あるので、今作は意外とそんなトロマの世界観を体験する入門作としてオススメ出来るんじゃないかなと思います。俺もまだ観ていない作品が沢山ありますがね。