ゆみな

グレイティストのゆみなのレビュー・感想・評価

グレイティスト(2009年製作の映画)
3.4
丁寧に作られている映画だと思いました。ありがちな話ながら、じんわり心に沁みてくるようなお話。キャストも豪華なのになぜか未公開だったのね。

息子を事故で亡くした家族の元に、その息子の恋人が現れて息子の子供を身ごもっていることを告げる。母は激しい嫌悪感…父は戸惑いつつも支える態度…弟はどこか他人事のよう。この恋人役のローズが家族の再生の鍵を握っていて、彼女の存在が少しずつ家族の癒しになっていく過程が不思議と自然に感じるんだよね。
人が死ぬってものすごく大きな喪失感に苛まれて、立ち直るまでに時間がかかるってことはわかるんだけど、序盤のスーザン・サランドンがどうにも受け入れ難くてね…でも、それが後半ものすごい活きてくるのよ。泣けない父が泣いた瞬間、やっぱり母は強いと思ったなぁ。
母と息子って思ってる以上に愛情が深い…いや、母からの愛の強さにちょっと引くくらいかも。加害者との会話、なんか痛いくらいガツンときちゃった。観ている私は当たり前のことに聞こえるけど、母親としたらあの言葉はどう感じるんだろう。やっぱり子供より先に死ななきゃダメだと思う私でした。

アーロンくんとキャリマンちゃんの幸せすぎるシーンから始まるこの映画、いきなりアーロンくんがいなくなるのでどうなるかと思ったんだけど、ちゃんと2人の恋物語も遡ってくれていて…それがまたいちいち切なくなって泣いた。恋が叶うまでの時間…あんなに長い時間お互いを見つめていたのに、何も知らないまま会うことすらできなくなるとかさぁ…。彼が彼女に話しかけた瞬間が眩しくて。アーロンくんはこういう童貞くさい役のほうがやっぱり似合うし好きだなぁ。
ゆみな

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