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曳き船のhasseのレビュー・感想・評価

曳き船(1941年製作の映画)
4.4
演出4
演技4
脚本4
撮影5
音楽5
技術5
好み4
インスピレーション4

濱口監督が好きな作品に挙げていたので気になって鑑賞。

脚本にマルセル・カルネ作品でお馴染みジャック・プレヴェール、監督デビュー前のアンドレ・カイヤットが参加しているという豪華さ。
難破船等を救助して対価報酬をもらう「曳き舟」にフィーチャーした、珍しい作品。

荒れ狂う海のシーンはまるで怪獣の咆哮のような爆音で満たされ、ノイズミュージックの様相を呈する。波に煽られ揺れる船内の様子をカメラをくねらせるだけで見事に表現した手腕も凄い。

二人が不倫する浜辺と付近の家のシーンも嵐から一転、静謐な空気に満ちていてうっとりする。最近見たからか、『鏡の中にある如く』を思い起こさせる。

嵐の海で出会った男女が、静寂の海辺で一時のランデブーを過ごし、再び嵐の夜に別れ、それぞれの道を歩んでいく。
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