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第七の十字架のyuzuのレビュー・感想・評価

第七の十字架(1944年製作の映画)
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ブッチブチの大傑作。

第二次世界大戦前夜、ナチスが台頭していた時代。収容所から脱獄した七人の政治犯。見せしめとして収容所に立てられた七つの十字架。追手たちに、一人、また一人と捕らえられ…という地獄の鬼ごっこ映画。

脱獄した主人公だけど、誰が味方になってくれるかわからない。友人だって信用できない。
特にかつての知人がナチスを支持しているのが印象的。しかも議会を襲撃したトランプ支持者みたいな狂信的な感じではなくて、冷静に政策とかを支持をしている。頭の悪い人ではないし、確実にいい人なんだけど、そんな人間がナチスを支持している。でもそれがあの時代のリアルであって、こういう本来善人であった人たちの支持によって悪人が権力を保持していたという事実…。今も変わらないか。

今作はジンネマン×シオドマク×サークという、ナチスから逃れて渡米した監督たちの特集で観た。ラングやルビッチも含めて、この手の監督たちの反ナチ映画は傑作多し。※シオドマクは明らかな反ナチ映画は撮ってない?
おかげでアメリカで数々の傑作が生まれたわけだけど、逆に言えばナチスが存在してなければドイツ周辺で娯楽映画が発達してたかも。
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