皿鉢小鉢てんりしんり

異魚島の皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

異魚島(1977年製作の映画)
3.9
“子どもを産めない女”と“子どもを作りたくない男”と“子どもを作りたくない男の子どもを産みたい女”の三角関係というほんとうに気が狂ったとしか言いようのない作劇。民俗学的な幻想怪奇譚のテイをなしているが、色々雑で幽玄さのかけらもない点は『ウィッカーマン』に通ずるものがある。徹底的に生殖の問題に取り組んでいるのも『ウィッカーマン』っぽいがこちらの方が遥かに(変態的に)一枚上手である。“アワビの養殖”のためにアワビに電灯を当てる実験をしている男が、同じ電灯で月経が来ない女を照らす、というのが、異常にロマンティックなラブシーンとして描かれる。
『リング』や『悪魔のシスター』で使われた、他人の記憶が走馬灯のように入り込んでくるまさしく映画的な演出が今作にも用いられるが、男の記憶の光景が中出し射精によって女に伝わる、という描写になっていてこれまた(変態的に)一枚上手である。デ・パルマを変態性で超えるのは大変な栄誉をキムギヨンは授かったと言える。