TAK44マグナム

悪魔のサンタクロース/惨殺の斧のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

3.2
もうすぐクリスマスですね。
街はカップルであふれかえり、家では子供たちがプレゼントに一喜一憂したりして、それはそれは楽しい気分に浸れるのがクリスマス。
クリスマス映画もたくさん作られているので、コメディならホームアローン、ラブロマンスならラブ・アクチュアリー、アクションならダイ・ハード・・・と、観たいジャンルそれぞれに代表作があるほどです。
そこで、クリスマスも近いことだし何を観ようか・・・と、今回チョイスしたのが「悪魔のサンタクロース/惨殺の斧」であります!
そう、ホラーです!
何もクリスマスにまでホラー映画を観ることはないと思われるかもしれませんが、楽しいはずのクリスマスが血に染まる・・・・・ウケケ、それはそれで楽しいじゃありませんか!

怖いサンタクロースが登場する映画って結構たくさんありますが、一番メジャーなスラッシャーホラーが本作じゃないでしょうか。シリーズ化もされていますし。
サンタ(の格好をした狂人)が人を殺しまくる不謹慎な内容なので、上映禁止運動も起こったという曰く付きの映画です。

クリスマス。少年ビリーは両親に連れられて祖父の入院している精神病院へ行きます。
両親の言葉にも何も反応しない祖父でしたが、みんなが他の部屋へ行ったかと思うと、ひとり残ったビリーにいきなり話しかけます。
「怖いか?本当に怖いのはサンタクロースだぞ。悪い子に罰を与えに来るんだ。逃げないと大変だぞ!」
などと、とんでもない戯言を幼い孫に吹き込むボケ老人!
すっかりビリーはびびってしまい、「サンタなんか来ないほうがいい」と言い出す始末。
そして運の悪いことに、病院の帰り、サンタの格好をした強盗によって父親は射殺、母親はレイプされて殺されてしまいます。
残されたビリーと赤ん坊の弟は孤児院に引き取られますが、そこのボスであるシスターの教育方針も、無理矢理サンタの膝にビリーを座らせたりするショック療法ばかりで、ますますビリーの精神はおかしくなってしまいます。
10年後、たくましく、そんでもってイケメン青年に育ったビリーは、孤児院の斡旋で玩具店に就職します。
一見すると好青年のビリーでしたが、クリスマスの夜、片思いの相手だったパメラが同僚とイチャついているのを目撃してしまい、ついに暗黒面が覚醒してしまいます!
「クリスマスにセックスしているようなヤツはみんな悪いヤツだ!罰を与えねば!!」と、パメラや店長たちをぶち殺し、育った孤児院へと向かっちゃいますよ!
道すがら、やっぱりセックスにふけっているような若者(「バタリアン」で墓場から蘇ったSMの女王みたいなのを演じていたリネア・クイグリー)や、雪ぞり遊びに興じていた少年たちを地獄へ送ってあげるビリー。
警察もビリーの凶行に気づき、孤児院へ向かうのですが・・・

ううむ・・・こいつは可哀相な青年のお話ですなあ・・・涙が出そうですよ。出ないけど。
サンタ強盗に両親を殺され、そのトラウマがあるのにシスターに厳しくされて、おまけにサンタの格好をさせられれば、そりゃ狂うなっていう方が無理があるってものです。
大体、いくら就職先が無いからって、あろうことか玩具店で働かせるのが間違いのもとじゃありませんかね?
クリスマスの玩具店なんてサンタと切っても切り離せない場所ですよ。
実際、これ書いている自分もサンタの格好してプレゼントを届けるバイトをした経験がありますしね(苦笑)。
思いっきり余談ですが、前年に同じバイトを経験した人から「お客さんの家に入ったら、脱衣所から裸のオネエチャンが出てきてラッキーだったぜ」と聞いていたので期待したのに、結局そんなシチュエーションは全く巡ってこなかったという、どうでもいい逸話が何故か忘れられません!

とにかく、完全にビリーも被害者ですよねえ。
とは言うものの、無関係なカップルや少年を串刺しや首チョンパにしてもOK!ってわきゃありませんが。

ビリーが狂ってゆく過程が前半でじっくりと描かれるので、殺人鬼の誕生に説得力がありまくりなのが好印象。
それから、やたらとオッパイがこんにちはするのも、粋なクリスマスプレゼントって感じで良いじゃありませんか!

前半は面白いんですけど、警察が孤児院に行ってからは、やや展開がモッサリするのが難。
あと、ラストが少し淡泊で拍子抜けでした。
ビリーの最後の台詞は泣かせますけど。
ただ、子供たちはものすごいトラウマになるでしょうね。何しろ、目の前でサンタが殺されますからね(汗)。
しかもビリーだけじゃないので、二人も続けてサンタが殺されるところを目撃したらヤバいですよ!

しかし、それにしてもキチガイのイケメンサンタが「罰だ!!」と叫びながら斧を振りまわすようなB級ホラーを、わざわざブックオフの投げ売りセールで買ってまで夜中にひとりで観ているっていうのは、やっぱり人としては正直いってどうなんでしょうかね(苦笑)。
自分が殺人サンタクロースになりはしないか、ちょっと心配になってしまった寒い夜でした。

メリークリスマス♪


セルDVDにて