爆裂BOX

悪魔のサンタクロース/惨殺の斧の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.8
幼い頃にサンタクロースを装った強盗に両親を殺され、それ以来サンタ恐怖症になったビリー。彼が18歳になった時、勤め先の玩具屋でサンタクロースの格好をさせられることになり…というストーリー。
「サンタクロースが殺人鬼になる」という子供の夢ぶち壊しな設定のせいでキリスト教団体やPTAから猛抗議を受けて、ヒットするも上映中止に追い込まれたカルトクリスマス・スラッシャーを鑑賞。
思ったよりもドラマ性の高い作りで、前半は主人公のビリーがいかにして殺人サンタになったかが丁寧に描かれていきます。5歳の時に施設に入ってるお祖父ちゃんに会いに行って、両親がいる時は無反応なのにビリーと二人だけになったら喋りだして「悪い子はサンタにお仕置きされる」と脅される所はお祖父ちゃん怖すぎです。そりゃビビるわ。しかも帰り道で母親がお祖父ちゃんの悪口言ってその後にサンタ姿の強盗によって父親は射殺、母親はレイプされそうになって抵抗したらナイフで喉切られて殺されるというとんでもないトラウマを背負わされることになります。母親が「おじいちゃんは頭がおかしいのよ」といった直後に「今のは良くない」「お年寄りの悪口は言っちゃだめだ」と5歳にしてしっかりした倫理観持ってるビリーには感心。
その後入った孤児院でサンタを怖がるビリーに院長はしつけと称した虐待を行い、「セックスは悪」「悪は罰せられる」とさらにトラウマを負わされることになるビリー。そしてイケメン好青年に成長したビリーが、勤めてる玩具屋でサンタのコスプレをさせられ、気になってる女の子が同僚に襲われてる所を目撃しトラウマ刺激されて一気に殺人鬼になります。しかしビリー気にかけてるシスターが紹介したのがよりにもよって玩具屋とは…クリスマスになったらいやでもサンタと触れ合う事になるじゃん。
殺人鬼になったビリーが凶行に及ぶ後半からは、電飾で首つりやナイフでメッタ刺し、ハンマー頭に突き立てたりアーチェリー使ったりとゴア描写は大したことないですが、多彩な方法で殺しまくってくれます。特にリネア・クイグリーがオッパイ丸出しのまま鹿の角に突き刺されて宙づりになる所は一番の見所と言えるかも。タイトルにもなってる斧中々使わないなと思いましたが、そりで滑ってるクソガキの首チョンパしたり警官の胸に突き立てたりと最後の方で使ってましたね。基本的に「悪い子」と判断した人しか襲わないので(玩具屋の店主はいい人だったと思うけど)「良い子」の幼い少女にはプレゼントしたりします。でも、あんな血の付いたカッター貰っても…あの子も「え?」って表情してたし(笑)
上記のリネア・クイグリーの他、出てくる女の子ほぼ皆オッパイ見せてましたね。流石80年代。
善良な牧師サンタを警官が誤射しちゃうハプニングが起きて、その警官が「子供達に危害が及ばない様に私がいます」という言葉に「「あなたは今の所危害しかもたらしてない」と院長に返されてシュンとなる所笑いました(笑)
因縁の相手である院長に復讐しようとビリーが向うも迎える無念のラストと、「安心して、サンタはもういない」と子供達にいう最後の台詞が悲しい。あれは子供達だけじゃなく自分にも向けていたのかな…
弟にその意思が受け継がれたと感じさせる不穏なラストもいい。
思ったよりも丁寧にドラマが描かれていて楽しめたクリスマススラッシャーでした。