Jeffrey

テンダー・カズン/妖しき従姉妹 テンダー・カズンのJeffreyのレビュー・感想・評価

3.0
「妖しき従姉妹 テンダー・カズン」

冒頭、静止画。少年ジュリアン。夏の別荘で出会った従姉妹のジュリアに恋をする。開放感に満ち溢れた真夏の避熱地、性の欲求、使用人、思春期の揺れ動く性。今、思春期の性の大胆で美しい幻の問題作が紐解かれていく…本作はD.ハミルトン監督が独特のソフトフォーカスで描く官能ドラマで、前作の「ビリティス」に続き、1980年に制作した従姉妹と少年の性を描いた青春ドラマ仕立てになっている。この度、BD化され鑑賞したが相変わらず美しい描写が多くある。




本作は同じく、冒頭は静止画が数枚現れ、主人公の少年ジュリアンが語り部となり、自らの自己紹介をする。彼は15歳(正確には14歳半)と説明している。僕が恋した従姉妹のジュリアの静止画、ビーナスのように美人と絶賛する少年、そしてジュリアの妹、おばさんのアデル(2人の母親)の静止画、僕の姉クレールの静止画、侵略結婚する男の静止画、少年の母の静止画、ドイツ人の教授、その人の娘、それと女優さん、最後に少年の父の静止画が順番に回ってくる。

そして使用人、管理人の静止画、メイドと使用人の母そして女性友達、農園の子、郵便配達員と紹介される…

時は1999年に移り変わる。そしてひと夏の思い出が語られてゆく。

美しい大自然に囲まれた豪邸の中庭で食事をする家族の姿。そこに郵便配達員のバズが来て手紙では無く小石を置いて行く。続いて、娘が初めて乗馬する会話をする。カットが変わり、草むらの上で日光浴を楽しむ女性の描写、娘が乗馬する描写、教授にメイドの女性が食事を持っていく描写、そして主人公の少年ジュリアンが家へカバンを持って帰宅する。

みんなが彼を出迎え食事の支度をし、会話が弾む。そして中庭で卓球をする大人たちとベンチに座ってママに対してのエッチな会話をするジュリアンの描写へ変わる。そして全員食卓につきディナーをする。カットは翌朝の美しい自然の小道を自転車に乗って疾走する若者たちを捉える。

そして複数の男女の物語が語られて行く…。

さて、物語は主人公の少年ジュリアンの成長過程を中心に、美しい描写による少女たちの魅惑的なシーンが連続する衝撃を随所に押し出したエロスドラマ…と簡単に説明するとこんな感じで、フレームがやはり綺麗である。



この映画1800年代の印象派の絵画のような演出がなされていて非常に好みである。すごくキレイなショットだらけだ。

それとこの作品かなりの登場人物が多いため、キャラクターと名前を覚えるのに大変だ。だから冒頭の静止画で一々全員を紹介していたんだと思う。それと、こんなところでエッチな描写にいきなり変わるのかとツッコミたくなる位、拍子もない場面で男性が女性の服を脱がしておっぱいを見せたりと不意をつかれる描写がわりかし多くある(観る側の男性はウキウキ)。

おっぱいを揉む場所が台所と言う所で、3大欲求の生と食を連想させる。この作品、物語とかは全然普通なんだけど、フレーム内に映る画作りが本当に美的センスを感じてしまう。

本当に何百年前の古い絵画を見ているかのようなショットが多すぎる。例えば、バスタブのようなところのホワイトクロスをバックに女性の裸体をタオルで拭く女性のシーンがあるのだが、フレーム内にほんの少し植物を端っこに置いているだけのシンプルな画作りで、端麗なフレームに仕上げている…それなんて最高のショットだよ。

それに、この作品問題作って謳い文句があるけど、確かにそうだ。メイドの女とジュリアンが裸になってベッドの上でイチャイチャする場面とかはさすがにやばいだろう…インパクトとしてはかなり大きい。それと納屋でいちゃつく(セックスシーン)もかなりやばい。やはり年齢差を考えてしまうと衝撃的だろう。


この映画ビンタしまくられるんだけど、男女ともに、ラストのビンタが非常に面白くて(少年の表情が)すごく爽やかに観終わる映画だった。すごく官能的だけどね…。
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