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チルドレン・オブ・ホァンシー 遥かなる希望の道のmhのレビュー・感想・評価

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日中戦争の戦災孤児を、安全な地――はるか遠くチベットまでつれていったイギリス冒険家の実話の映画化。
序盤は南京大虐殺。
よくいわれているのは便衣兵狩り(便衣兵:故意に軍服を着ない、一般人のふりをした兵士)なんだけど、この映画の虐殺対象は婦女子なので状況がよくわかんない。
偏った正義が原因で虐殺が起こるので、最低でもその偏った正義を描くべきだと思うんだがどうだろう。
主人公のモデルとなった人物の中国入りは1938年2月、そもそも南京大虐殺(1937年12月)に遭遇してない。オープニングで強烈なエピソードを持ってきて観客の興味を引きたいという作劇上の配慮なんだろうけど、やるならちゃんとやって欲しい。
もっとも巨大な中国マーケットを考えたら、日本側の言い分に配慮するなど意味わからんからな。中国の検閲を通過するのが最優先というビジネス的な判断(で中国側の言い分丸呑み)と見るべきか。
中盤以降になってようやく本編。この映画のテーマである戦災孤児との交流、そして、集団移動となる。尺の都合でトラブルが深刻化せず、すぐに解決してテンポ良く進行する。
面白いのは国民党軍も敵として描いているところ。抗日レジスタンスで手を結んだりもするけど中共軍とはそもそも仲が悪い。日本軍がいないところで出会ったら、普通に戦闘が始まるみたいなことに触れてる映画はかなりレア。
「独立愚連隊」でも中共軍と国民党軍はまったく別物で描かれたもんね。当時の中国はそこに関東軍を併せた三つ巴になっていると理解すべきなんだろうな。
ヒロインがアヘン中毒になってるなど、なんだかんだすごいシナリオだった。
あっさり破傷風になってどうなったのかと気を揉ませて、死者を弔う白い凧の伏線回収。
総じてシナリオがうまいんだけど、効率的すぎて情緒が追いつかなくてもったいなかった。
面白かった。
mh

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