アキラナウェイ

ティングラー/背すじに潜む恐怖のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

3.6
ゾクゾクする事ってありますよね?

そう…あれはある夏の夜。
車の中で携帯を触っていたら、
ヒタヒタヒタ…と足音が聞こえる。
裸足で誰かが近付いてくる様な。
周りを見回しても誰もいない。
また携帯に目を落として暫くすると、
さっきよりも近い距離でまた
ヒタヒタヒタ…と足音が。
ちょっとヤバい気がする。
ミラーも全部確認したけど、
車の周りに誰もいない。
ヤバいな、ヤバいな…と思っていたら
またヒタヒタヒタ…と運転席の横で
足音が止まった。
これは絶対
あ か ん や つ ! !
次の瞬間、コンコンと扉がノックされた。
最後の確認ッ!!
周りは確かに誰もいないッ!!
ゾクゾクゾクゾクッとして、アクセル踏み込んでその場を逃げた。
そんなある夏の夜。

あー怖かった。
実話です。

はっ!!映画と関係ない怪談話でこんなに行を稼いでしまった。

恐怖を感じた時のあのゾクゾクは何なのか?というお話。

長年の間、恐怖心の研究をしているチャピン博士は、人が恐怖を感じると脊髄に生息する"ティングラー"という生物が肥大化して、背筋をゾクゾクさせているという仮説を立るが—— 。

初っ端、監督ご本人が登場して、観客に注意喚起なんて斬新!!
古いのに斬新!!
あ、最近だとシャマラン監督も登場したっけ。

恐怖を感じたら悲鳴を上げて!!
ティングラーは悲鳴が弱点。

で、ティングラーは本体が脊髄からずりっと登場してきたら、その造形に歓喜の拍手!!

何これムカデ?

彼が出てくる度に心臓の鼓動が聞こえる演出も良き。糸で操っているのが見えちゃっているけど、そこはご愛嬌。見えなかったフリをしてあげる。

口が聞けない老婦人の恐怖の表情はサイレント映画のホラー描写そのものだし、全編モノクロなのに、血だけは赤とか、そのおセンスは大好き。

マッドサイエンティストに思えたけど、真犯人はアイツやったか!?っていう展開に騙されもしたし、飽きずに楽しめる短尺モノ。

公開当時は、劇場のスピーカーから絶叫の音声が流れ、観客に紛れ込んだサクラが絶叫し、椅子の下に仕掛けられたバイブレーターが振動する等、4DXの走りの様なギミックが話題になったそうな。

ジョー・ダンテ監督の「マチネー/土曜の午後はキッスで始まる」はこちらのオマージュだそうで、終盤の展開が確かにそうだと大納得。

ストーリーに惹き込まれ、もそもそ動くティングラーにニヤニヤしちゃう、1950年代の恐怖映画にゾクゾクしちゃう。