FREDDY

マイネーム・イズ・ハーンのFREDDYのネタバレレビュー・内容・結末

マイネーム・イズ・ハーン(2010年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

カラン・ジョーハル監督によるドラマ作品である本作は、拡張型心筋症で亡くなった母・ラジアが生前に言い残した、"弟・ザキールのように幸せに生きなさい"、"アメリカに行きなさい"という言葉を胸に弟が暮らすサンフランシスコへと訪れた、アスペルガー症候群を患うイスラム教徒のインド人リズワン・ハーンを主人公に、弟の紹介でメヘナーズ・ハーバル化粧品の営業業務を行っていたとある日に出会った、美容室で働く、ヒンドゥー教を信仰するシングルマザーのインド人女性マンディラと宗教の壁を乗り越え幸せな新婚生活を送っていた中、2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件をきっかけにイスラム教徒に対する偏見と差別が横行したことで平穏な生活が奪われた上、再婚によってイスラム教徒の姓に変わったことが原因で激しいいじめを受けていたマンディラの連れ子であるサミールが集団暴行によって命を落としたことで、後悔の念に駆られ悲嘆に暮れるマンディラに激しく責め立てられ家を追い出されたリズワンが、彼女のもとへ戻ってくる条件として突きつけられた、イスラム教徒を恨むアメリカ全国民に自身が"テロリストではない"ことを説得、証明するために始めたアメリカ横断の旅の様子が描かれた作品となっているのだが、"素晴らしい"としか言いようがないほど本作が映し出すドラマは魅力的で考えさせられるものがあり、前半では幸せに満ち溢れたリズワンとマンディラが織り成す純愛が描かれるのだが、2人のユニークな掛け合いには思わず笑わされましたし、見ているだけでほっこりとさせられる2人の愛は羨ましくもあり、連れ子のサミールとの関係性も良く、それでいてアメリカ同時多発テロ事件によって幸せな生活が一変してからの中盤はとにかく居たたまれない気持ちにさせられましたし、後半でのアメリカ横断の旅に関しても、リズワンが目的を果たすべく奔走していく様には心を大きく揺さぶられましたし、様々な出会いによって紡がれていく奇跡の物語もまた最後まで展開が気になるものとなっていて、162分と長尺ながら終始画面から目が離せずにいましたし、本当に最後まで面白かった。何よりもやはり主人公であるリズワン・ハーンがとにかく魅力に溢れた人物となっているので素直に感情移入ができましたし、すんなりと物語に入り込めた。強くオススメしたい一作ですね。間違いなく名作。
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