うにたべたい

宇宙人東京に現わるのうにたべたいのレビュー・感想・評価

宇宙人東京に現わる(1956年製作の映画)
4.2
大映の特撮SF映画。
"日本初の本格的カラー空想特撮映画"と、紹介されることが多いですが、日本の特撮映画では初のカラー作品ということで良いのでしょうか。

世界中で未確認飛行物体の目撃が相次いで報告される。
その宇宙船には友好的な宇宙人・パイラ人が乗っていて、彼らは地球に迫る危機について何とかして警告をしたいと思っていたが、地球人に怖がられてしまいうまくいかない。
そこで、地球人の美女に姿を変えて、地球の社会に溶け込み、内部から警告することを計画するというストーリーです。
パッケージにもあるヒトデ型宇宙人のパイラ人は岡本太郎氏がデザインしていて、この異形の宇宙人が安穏たる地球に警告をし、地球を救うために力を貸すというのが特徴です。

特撮はおなじみの的場徹氏、"釈迦"、"鯨神"、"透明人間と蝿男"などで特撮監督を務めていた方ですね。
侵略宇宙人や凶悪な怪獣と戦うような内容では無いので特撮の印象は強くないですが、扉を通過したり人類には不可能な跳躍を見せるパイラ人の演出はそつの無いものになっていたと思います。
パイラ人はヒトデ型の中心に大きな1つ目を持つというシンプルなデザインですが、ひと目で岡本太郎らしさを感じさせますね。
もっとこの姿で活躍するのが見たかったですが、基本的に人間に変身していて、宇宙人の姿の登場シーンはわずかなのが残念。
あわよくば巨大化もして欲しかった。

内容も良かったです。
展開がわかりやすく、見やすい作品でした。
地球とは縁のない宇宙人でさえ地球を憂いているというのに、人類同士は協力すべき事態になっても、利益を優先して足を引っ張り合う。
宇宙人と戦う前に人類同士が分かり合えるようになるべきではないかというメッセージが伝わる作品でした。