継

プロポジション -血の誓約-の継のレビュー・感想・評価

プロポジション -血の誓約-(2005年製作の映画)
4.5
ディジュリドゥの重低音が唸る
先住民が追いやられた内陸の奥地.
流浪の賞金稼ぎジョン・ハートが
“猿からだとよ” と嘲笑(あざわら)う「種の起源」の如く
適応出来ない者を容赦なく淘汰する
血に染まり赤茶けた大地, オーストラリア.

19世紀末, ユニオンジャックが翻る警察署
英国人の誇りを胸に街を変えようとする警部スタンリー
捕らえたアイルランド移民チャーリー(ガイ・ピアース)に
兄アーサーと弟の命を天秤にかけさせる.

監督(ヒルコート), 主演(ピアース), 脚本&音楽(ケイブ).
主要なポジションをオーストラリア人で固め
アボリジニ・コミュニティの許可及び協力を得て
彼等の居住エリアでも撮影を敢行した
「白豪主義」黎明期の祖国, 負の歴史.

何も無い砂漠の真ん中に 塀を囲い建てた家.
薔薇の庭園, アフタヌーンティーの習慣, 日傘にドレス...
警部の妻マーサが頑なに守る大英帝国の生活様式は
蝿にたかられ 砂埃にまみれ 踏みにじられる.

アーサーの, 己の本能のまま非道の限りを尽くす無慈悲さと,
“時計仕掛けのオレンジ” アレックスの如き風貌のサミュエルが併せ持つ二面性, すなわちスコットランド古歌 “peggy gordon” を独唱する穢(けが)れの無さと, 平然と人を蹂躙する残虐性が, 強烈な印象を残す.
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