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ザ・バニシング-消失-のmのレビュー・感想・評価

ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)
4.0
サイコパス好きは観るべき作品。
悍ましさと面白さ、その相反する感覚がこの一本の作品に凝縮している。

スタンリー・キューブリック監督が絶賛した、と聞いて見たいと思っていた作品。キューブリック監督が人間の心理に注目している人だと改めて思い知った。

オランダからフランスへと小旅行に出かけたレックス(ジーン・ベルヴォーツさん)とサスキア(ヨハンナ・テア・ステーゲさん)。
立ち寄ったドライブインでサスキアが忽然と姿を消してしまう。3年の月日が流れ、レックスの元へ、犯人らしき人物から手紙が届き始める。そんなストーリー。

犯人は序盤に分かるのですが、一応ネタバレになるのでこちらには書きません。今作は犯人が誰か?というハラハラよりその犯人の過ごす日常の過程を楽しむ作品なのでは?と思う。
私はとても好きだった。
犯人はとても常識がある人間で、家庭もきちんと持っている。ただ、幼少期に少しの違和感を覚え、その違和感を大人になって追求していく。
犯行を行う前、綿密に下準備していくシーンは、うまくいかないことの連続でまるでコメディ。笑ってしまうギリギリのとこを描いていて「この人、本当はサイコパスじゃない?」と思ってしまう。
とても人間味の溢れたサイコパスなんだけど、ラストはしっかりとエグく締めてくれて思わず鳥肌が立った。
彼の描き方はとても丁寧だったと思う。

カメラワークや構図、小物の使い方がとても上手でお洒落だった。
サスキアがジュースを落とすシーンがあるんだけど、あれは洒落ていてカッコよかった。

久しぶりに新種のサイコパスを見せてもらった気がする。世間一般での善悪ではなく、己の正しさを軸に持っていて、人助けをしてしまうシーンなども盛り込まれていて、憎らしい笑

淡々としているが、そこがまた怖いところ。こういう奴は身近に必ず潜んでいる。
面白かった!

ストーリー : ★★★★☆
映像 : ★★★★☆
設定 : ★★★☆☆
キャスト: ★★★★☆
メッセージ性 : ☆☆☆☆☆
感情移入・共感 : ☆☆☆☆☆

cc/彼女は消えた、跡形もなく、忽然と
 彼は知りたかった、その行方を
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