じろともトン

ザ・バニシング-消失-のじろともトンのレビュー・感想・評価

ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)
5.0
◯ #ジョルジュシュルイツァー 監督「 #ザバニシング消失 」
◯パリ出身でオランダの映画監督、ジョルジュ・シュルイツァー監督の「ザ・バニシング消失」は、ここ数年で上映、再上映される前にかなり前にDVDでソフトが出ていて購入して観ています。
◯その後、同監督自身がハリウッドセルフリメイクされていて93年「失踪」というタイトル、#ジェフブリッジス #キーファーサザーランド #サンドラブロック 出演で、俳優陣は役に合っていて良かったのに、よくあるハリウッドリメイク作品という評価の作品になっていて、オリジナル版のミステリーサスペンス映画としてスゴい所を改変してるのが原因。ハリウッドでは英語圏なので英語の作品としてリメイクする意図があるのだけど、オリジナルの根本を変えるならリメイクする必要がない。
◯オリジナル版の「ザ・バニシング消失」は、オランダ映画として観た当時は、知ってる俳優が1人もいないまま観てるのがこの映画の見方として効果的。
◯旅行中にいきなり恋人が行方不明のままずっと探し続けている主人公の普通の男。サービスエリアで突然恋人が失踪したので、狐につままれた様な気持ちのまま何年も恋人の行方を探している。警察の捜査も曖昧になり、自分だけでなぜ恋人がいなくなったのか?に取り憑かれた様に何年も探し続けている。
ある日、犯人らしき人から手紙が届く。。
◯もう1人は家庭もあり子供もいる普通の男の日常が映し出される。家庭人の様に見える男。その男の日常が淡々と描かれる。
◯「ザ・バニシング消失」が他のサスペンスものと一線を画す部分があるとしたら、
◯失踪して恋人を探し続ける主人公の行動原理が変化しているところ。
◯もう1人の普通の家庭人の様で、何か人としての感情が欠落してるのではないか?と思わせる行動原理。それを淡々と映す演出。
◯失踪した恋人は見つかるのか、警察なども捜査に協力的でない、状況的にも探すのが困難な何年も前の呪縛から抜け出せない主人公が、何の為に行方不明の恋人を探しているのか。
◯これが他のサスペンスミステリーなら、主人公は恋人がドライブインで何事もなかった様にその場を離れたまま自分の元に戻ってこなかった「喪失」を描くものが多い。
この映画は主人公が「大切な人の喪失」という行動原理から逸脱していくのが大事なところ。
◯もうひとつは普通の家庭人の様な男の淡々とした日常のはずなのに、家庭人な男の日常がどこかおかしい、と観てる側が思うか思わないか、がもうひとつの大事なところ。
◯ハリウッドセルフリメイク版は、全体的には普通に観てミステリーサスペンスとして面白いと思う。
◯でもオランダ版のオリジナルの登場人物の「行動原理」の変化と、
家庭人の男の日常が、自分の知らない俳優さんが演じてるのもあって人によって「普通」が違う、行動原理、価値観や探究心も違うのを、映画的な抑揚を排除した様な冷めた演出にオリジナル版は怖さがあると思う。
◯宣伝の為に使われてる #スタンリーキューブリック 監督が3回続けて観るくらいこの映画の中に、他のサスペンスミステリーにないものがあると思ってます。
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