"イメージビデオにいちばん近い映画" とはまさにこれ。
徹底して生活描写を削ぎ落としている。食べるシーンが一度も無かった。ポーチやリュック、スーツケースなどの所持品が開かれることも無かったような。風呂シーンはカタチだけだった。
「君はただ、風景をぼんやり眺めたり、その中で佇んだり、手を振っていればいいんだ」って言われてそう。
荷台から転がり落ちる木の実を避けるところだけ映画っぽい。
ほとんどファンタジーと言っても差し支えない、上澄みをすくったような甘々の異国描写。
『時をかける少女』を観たときは原田知世の良さがわからなかったけど、今回はわかった。マテリアルとしての輝き、たしかにある。