ちろる

サンシャイン・クリーニングのちろるのレビュー・感想・評価

3.7
物語はひょんなことから死体現場のクリーニングの仕事をすることになった姉妹のお話。

主人公のローズ役のエイミー・アダムスが「魔法にかけられて」とは真逆な役どころを演じていて、しかもはまっていて面白かった。


高校時代マドンナだった主人公のローズは、いまや一人息子をシングルで育てながら同級生と不倫を続けており、
妹ノラは生粋のダメ人間。仕事も続かず、ぷー太郎を続けている。
そして描かれるのは負のスパイラル。


学園のマドンナだったプライドなのか、シングルマザーとしての意地なのかローズの頑張りは痛々しいほどで、それでも報われない日々が続く。
不幸な自分の立場を恥ずかしいと思い、見栄を張って幸せだと嘘をつく。
でも実はみんなそう。

隣の庭が広く見えるように、人はつい、うまくいかないと他人が幸せだと思い込んでしまうものだ。

いくつもの殺人現場を周るうちに見えてくる色んな人間の悲しみや弱さ。
幼い頃母を亡くした姉妹の心の中にあるぽっかりとした穴が、仕事の中でで足りないものを埋められていく。

「負け組」とか「勝ち組」とか誰が決めたのだろう?
寂しい人間ほどそんなものにこだわり、自分を見つめすぎて破綻してしまうのだ。


誰の人生にでもある「負のスパイラル」そこから抜け出すのは自分自身の力。

頑張りすぎちゃいけない、自分を卑下しすぎてもいけない、自分を見つめすぎることをふと止めたとき、少しだけすべてが楽になる。
そんなことを教えてくれた。

テーマは暗いし、殺人現場のオンパレードでちょっぴりえぐいけど、家族の大切さを一度かみ締めることができるとってもあったかい映画でした。
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