むぅ

トムとトーマスのむぅのレビュー・感想・評価

トムとトーマス(2002年製作の映画)
4.1
【おとなはみんな、だれしも、かつてこどもだった】

鷲掴みもいいところだ。
どこにそんなに"子ども心"が隠れていたのかと思うほどに自分の"子ども心"をガッツリ掴まれてしまった。

舞台はもうすぐクリスマスのロンドン。父と2人で暮らす9歳の少年トーマスには、自分と瓜二つのトムという空想上の友達がいた。
ところがある日、トーマスはトムと出会う。2人は幼い頃生き別れた双子で、トムは今は児童養護施設で暮らしていた。

"子ども心"ってどんなものだろう、ふとそう考えた時に1番に浮かんだのは"瑞々しさ"だった。
雨が上がればその空以上に晴れやかな気持ちになったし、大きな雲を見つけたら乗っかってお昼寝がしたかった。小道を見つければどこか違う世界に行けるような気がした。
そして何よりも"好き"という感情が透明で濁りがなかった。
心の中に壺があるとして。
その中の澄みきった水にどんどん色んな感情の"色"が落とされていく。その色合いは深くなっていくけれど、時に濁ったように感じたりもする。
トーマスとトムの澄みきった感情が、とにかく愛おしく可愛い。
"好き" "大切"が一切寄り道せずに行動に繋がる。
ピンチに陥った2人が、まず自分よりも相手を心配する真っ直ぐさが心を打った。

2人が巻き込まれてしまう大ピンチを息を飲んで見守った。
携帯が鳴っているのに気付かないほどに。これは結構久しぶりの感覚だった。

会えば「今日って200円持ってる?」とガチャのためにカツアゲをし、鬼ごっこをすれば「ママが鬼でむぅは悪者ねー」と、もしかして君、私のこと嫌いか?と疑念を抱かせる友人の息子と一緒にまた観たい。

観終わって思わずにっこりしてしまった愛おしい2人のアドベンチャー・ムービー。
童話の世界にいた110分。
自分の中の毒素が少し抜かれた気がした。
心のデトックスは大切。
むぅ

むぅ