安堵霊タラコフスキー

たぶん悪魔がの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)
4.5
以前鑑賞したときはあまりピンと来なかった作品だけど、今回劇場で再鑑賞したら好印象に転じた。

内容というか展開に関しては相変わらずよくわからなかったけれども、淡々とした描写の中で時折効果的に挿入される暴力的な音の表現とかに惹かれるものがあって、そこがこの作品の良さにも思えた。

そしてあっさり行われる犯罪描写だったり良くも悪くも淡白が過ぎる会話パートだったり、過去作を思わせる要素を多分に含んだカラー作品としてもブレッソンの総まとめ的な性質が感じ取れ、そういうところもまた味わい深かった。(それでいて退廃的な全体の質感にアメリカンニューシネマに通じるものが見出せたのも面白い)

しかしブレッソンの簡素かつ芸術的な表現の数々を観ていると、結構神経質な状態でもいくらか落ち着きを取り戻せるので、精神安定剤代わりとしても良い効能があるのかもしれない。