アタフ

たぶん悪魔がのアタフのレビュー・感想・評価

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)
3.3
ロベール・ブレッソン監督の作品は初見です。
「たぶん悪魔が」というタイトルに惹かれました。

多くを語らない話運びや感情的を抑えた静的な演技にはいかにも芸術映画であると感じさせられる。自殺願望にとらわれた青年(シャルル)の話であるが、当時の社会問題や環境問題に対しての問題提起のような内容であり、特に環境問題については環境汚染の実際の映像を交えながらシャルルらがそれに絶望する様子が映し出される。
ロベール・ブレッソンという監督のことはほとんど知らないため分かったようなことは言えないが、当時の時代のネガティブな部分を実在感を持たせつつ映画として表現したかったのだろうと思う。

ただ、この主役であるシャルルは容姿は美しく、家は裕福であり、友人もいて彼女もいる(しかも二人も!)
そんな恵まれた彼が現実社会に絶望して自殺を選ぶという話はどうしても感情移入は出来ないし、若者の憂鬱ごっこといった印象で全く心には響いてきませんでした。当時のパリではそのような空気が流れていたのかもしれないが、私的には「恵まれたものが選ぶ死」よりも「恵まれないものがどう生きるか」を描いた映画のほうが見たい。
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