ユウサク

たぶん悪魔がのユウサクのレビュー・感想・評価

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)
3.8
2回目
2024/01/06 ☆3.8

Blu-rayで特典映像→本編の順で見た。「公開当時18禁だった」と書いてる人が多いけど、正しくは「一度は18禁にすると検閲委員会から発表されたけど結局文化省が年齢制限をなくして普通に映画館で公開された」という説明だった。ブレッソンは公開館回ってちゃんとした環境で上映されているかチェックしたらしい。映像よりも音を気にしていて、音量が小さいと上げるよう指示したとのこと。たしかに木々が倒される時の悲鳴のような音、排気ガスを強く連想させるエンジン音、銃声などしっかり聞いてほしい音がたくさんあったんだろうなと想像できる。

2回目だけどやっぱり誰がどういう関係なのかわからん……。アルベルトとミシェルが同棲してるけどアルベルトはシャルルと交際している?シャルルとエドウィージュはどういう関係?愛がどうのと言ってたけど。ミシェルは記者?プルースト手に取ってたな。本屋のおっさんは誰?やっぱり人は少ない方がいいのでは……。
環境問題にちゃんと向き合ってるかどうかで感想が変わると思う。70年代からちゃんと考えていた人、どれだけいるだろう(グルノーブル・シネマテークのディレクター ガブリエラ・トルヒーヨの解説によると1977年はブリジット・バルドーが引退し動物保護のための活動を始めた年で、アザラシと一緒にいる映像が世界中に広がったとのこと)。未だにSNSでグレタ・トゥーンベリを馬鹿にしているような連中はこの映画を見る資格もないでしょう。もちろんシャルルの無軌道なあり方を全肯定しろということでもないし、言葉をなめんなよとも思うが、地震が起きてもBSフジでヘラヘラしてる岸田を見てると気持ちもわかるよ。本当にどうすればいいの?って思う。原子力関連の説明が適当なのは50年経っても一緒なんだから全く笑えないよ。


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1回目
2022/10/21 ☆3.5

優しい映像の中にギョッとするような「間」の暴力。ライリー・スターンズ作品にも近いものを感じるのでファンなんじゃなかろうか。

フッテージの中にこどものアザラシ?をバールで何度も殴打するシーンがあってやめてくれ……と思った。水俣での水銀被害も映像として出てくる。環境問題に絶望して、という流れは『魂のゆくえ』でもあった。
特に説明とかしないので誰と誰がどういう間柄なのかとか全然わからず進むところは若干つらい。4:3のフレーミングがバッチリ決まってるので飽きはしないけど。ほぼ何も見えないオープニングとあまりにもドライな〆も最高だった。
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