TaiRa

たぶん悪魔がのTaiRaのレビュー・感想・評価

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)
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社会や環境が汚染されている事を内面化して過剰に絶望しちゃう鬱映画。一周回ってZ世代っぽい。

スラッとした美青年たちが舗道をコツコツと歩いてる姿と音が単純にイケてるのがブレッソン的。政治集会や環境問題、宗教、どれにも参加出来ない主人公。世界が病んでいく様と(勝手に)自分の内面をリンクしてしまって具合悪くなってる人は結構いるが、そういう人の典型に見える。本人がどうしようもない事で希死念慮が増幅してるのは、そもそもマインドセットをミスってるので気を付けた方が良い。そんな主人公はズルズルと下に潜っていって死へ邁進。一方で、真っ当に不真面目な奴もいる。そいつから適当に殺されちゃう結末のシニカルさが好き。まだ話してる途中なのに。有名なバスの場面も不穏で好き。ここに由来するタイトルのカッコ良さも。途中でアザラシの赤ちゃん撲殺する映像が入ったりと、モンド映画みたいな要素があんのも変。核実験とか環境破壊とか、負のイメージの氾濫によって心にダメージを負うっていう、まさに現代的な事象をかなり早く取り入れてる映画なんじゃないかな。黒沢清とか北野武の映画の怖さの原点だし、観てると何か落ち込む。
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