炭酸水

たぶん悪魔がの炭酸水のレビュー・感想・評価

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)
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破壊の時代を彷徨する虚無的な魂の行き着く果て。自殺願望に憑かれた青年シャルルは活動家の友人と集会に参加しても恋人と奔放な日々を過ごしても気は晴れず、鋭敏な感性はいっそう孤独を募らせ、どうしようもなく死へ追い込まれていく。乾ききった絶望に言葉を失った。沈黙する役者の立ち姿や宙を舞う台詞の一つ一つにまで空虚が染み付いている。精神科医との対話も何ひとつ核心に触れることなく、シャルルの「僕には行為をなすことができない」という訴えも見逃され、一度避けられたかに見えた最悪の結末へ引き戻されていく。どこまでも暗いストーリーだがカットの美しさに見入ってしまった。鑑賞者の精神状況によっては危うい影響を与えかねないほどの映画。劇中でも「精神的崩壊を加速させるもの...書籍、映画、麻薬」と語られるが、まさに劇薬的効能を及ぼしかねない作品だと思う。自分は魅入ってしまう側の人間なので特にそう感じた。
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