爆裂BOX

ザ・テロリストの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ザ・テロリスト(2009年製作の映画)
4.0
地球の温暖化や食糧危機、人口過剰、そして自分の日常にウンザリし常に鬱屈し怒りに満ちていた青年ビル。自分以外の全てを憎む彼の憎悪が、無差別大量殺戮を決心させる…というストーリー。
マスター・オブ・エラーウーヴェ・ボル監督のバイオレンス・アクション。
両親と同居する青年ビルは自分の日常や世界にイライラする毎日。そんな彼はある日突然、防弾スーツにヘルメット、マシンガンで完全武装し無差別殺人に乗り出す!という内容。
前半は主人公の日常を主人公の独白を混ぜてダラダラ描きますが、時折入る惨劇の光景が不穏な空気を感じさせます。最後まで見てみるとこの日常シーンでも入念に準備していたんだなと分りますね。
主人公が親に「早く独り立ちしたらどうだ?」と言われて「大学行くためにバイトしてんだ!」「今日は疲れたから話は明日にしよう」と言い訳する姿は結構身につまされました(笑)
中盤からの大虐殺シーンは本当に無差別でとにかく殺して殺して殺しまくります。ゲームのGTAとかで本筋とは関係なくNPCぶん殴ったり殺したりする所をピックアップして実写化したような感じで、凄惨さと陰惨さに満ちていて中々重たい迫力あります。爆発シーンも割と派手でしたね。
警察署に遠隔操作するガソリン爆弾積んだバン突っ込ませて爆発させて警察が来れない様にしたり、偶々入った美容室でマスク取って水飲んで、顔見られたからと一度出て行ったけど戻って来て従業員と客皆殺しにしたり、主人公の気まぐれな様で計画的、でも計画的な様で気まぐれな犯行の不安定さも変なリアルさを感じさせます。銀行襲撃した時の「これ以上は殺さない。なんかそう決めた」という所も得体のしれない不気味さを感じます。
ビンゴ会場での店員の反応もなんかリアルでしたね~。主人公が出て行った後しばらくそれを見つめていた老人達がビンゴの番号を告げられた途端、またゲームに戻る姿も笑えるけど不気味でした。
主演のボル映画常連のブレンダン・フレッチャーのふてぶてしい態度や冷酷な態度、憎たらしい表情や言動などすげーハマってました。本当そういう人に見えるくらい(笑)マイケル・パレは保安官役で終盤に登場するもアッサリ殺されます。ビルに殺される美容室の従業員役でキャサリン・イザベルも出演してましたね。
ラストの主人公のメッセージも本当にそう考えて行動したのかそれともやっぱり適当なのか判断つかない感じも不気味でした。「君たちの居場所を作った」とか言いながらでもやってる事は結局罪も無い一般市民の無差別虐殺なんですけどね。
襲撃シーンでカメラがブレまくるのは見辛かったですね。
人にはオススメできない内容の作品ですが、ボル監督の作品の中ではアタリの部類に入る作品です。