イカのおすし

エクストロのイカのおすしのレビュー・感想・評価

エクストロ(1983年製作の映画)
5.0
伝説の80年代エゲレス産Z級SFホラーがいつの間にかアマプラにラインナップされていて、しかもあと数日で配信終了と知り慌てて鑑賞。DVDにプレミアがついたりマニアの間でカルト人気があるのは知っていたが観て納得の珍作であった。

ストーリーは一応あるっちゃあるけど雑というか破綻している。伏線と思わせといて投げっぱなし連発みたいな真面目に観ているとコケる要素が満載だ。

だが意図してやっているというよりも、やりたいことを片っ端からぶち込むのに夢中になり過ぎて収拾がつかなくなっちゃった天然系という感じ。熱い思いだけはビンビン伝わってくるのでどこか憎めないところがある。ここら辺もまたマニアに愛される所以なのだろう。

ご近所トラブル的エピソードは無駄話し以外の何物でもないが、ババアの予想外な残忍さや今際の際のバカさ加減など、かなり笑えたので振り返れば結構ポイント高かった。

また、おもちゃの兵隊や小人のピエロなんかも流れをぶった切ってまで差し挟む必然性がどこにあるのかサッパリ分からないが(途中でエイリアンネタに飽きちゃったのかもしれない)、雰囲気だけは出ているので何となくアリだな、と思えてしまう妙な説得力がある。

そして何と言っても素晴らしいのがマリアム・ダボである。後にボンドガールとなる若き日の彼女がエロったい家政婦役をダルげに好演、こんな下品なZ級作品に似つかわしくない美貌を剛毛もろとも惜しげも無く披露している。端役ながら場違いなオーラを放ち大器の片鱗を窺わせるダボ嬢が見られるだけでもオツリがくる。

ワケの分からなさや割と頑張っているグロ描写にジャッカン引くものの、卒なくまとまった小利口な作品にはなし得ないダイナミズムに満ちており、予想を上回るアタリ作品であった。

監督はハリー・ブロムリー・ダヴェンポート。いかにも才気に溢れてそうなカッコイイ名前だが本作以外では聞いたことがない。ハリーさんは調子こいて本作の続編を3まで作っているそうだが、出す度にパワーダウンしているらしい。機会があれば是非観てみたい。