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翼のない天使のarchのレビュー・感想・評価

翼のない天使(1998年製作の映画)
3.0
シャマランに抱いていたアバンギャルドな作家像とは乖離した少年の成長譚になっていて、SF要素の代わりに宗教を取り入れたスピルバーグ映画のようであった。

若くして祖父を失い、喪失とどうしても向き合えなかった少年はある問いにたどり着く。
「神様はどこにいるの?」

その「神を探す」という行為とどう喪失を受け入れていくかというテーマは表裏一体として描かれていく。
喪失に対して、この映画は今生きる人達の交流の暖かさ、そして現在進行形で失われる命や関係に目を向けることこそが大切だと描く。そしてそんな先にこそ"天使"は微笑むのだと。

「シックスセンス」にも通ずる部分として"見えない存在"と喪失のセットになっていることがある。
喪失とは、見えなくなってしまった誰かを想うことであり、本作においても神と亡き祖父は同化していると行っていい。
「シックスセンス」では更にその先に進み、それが映画的な仕掛けとして機能し、また映画的な映像ならではの語り口になっている。

小さな少年の世界に焦点を絞りきった所も良かったが、少し余計なエピソードなどもある気がする。
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