kazマックスグローバーレッド

炎のマーシャルアーツのkazマックスグローバーレッドのレビュー・感想・評価

炎のマーシャルアーツ(1990年製作の映画)
3.8
キー・ホイ・クァン19歳の主演作は格闘技試合に挑む2人の義兄弟と強盗団リーダーでもある父親との宿命と成長の物語。キー・ホイ・クァンのテコンドーの師匠でもあるレオン・タンが1977年に主演したウー・マ監督の香港映画『太極八蛟/The Flash Legs』のリメイク作品です。


ベトナム帰還兵のマイケルは2人の息子トニーとチャーリー(キー・ホイ・クァン)を格闘技試合の会場へ送迎し、息子たちが試合で闘ってる間に6人の仲間と銀行に寄って金塊強盗。マイケル父ちゃん、めっちゃ悪いヤツ。

マイケル強盗団の一人は『燃えよドラゴン』でマースを踏み殺し、お姫様抱っこでチュン・ファトの背骨を折ったヤン・スエさん。『ナイト・ホークス』でのスタローンの女装に匹敵するヤン・スエの女装っぷりが見物です。

盗んだ金塊を金庫に隠し、鍵を形どった樹脂細工のピザを6等分にし仲間と分散、ピザのピースを6つ集めなきゃ金塊は開かずの金庫の中。

強盗仲間の一人で銀行マネージャーのピーターは良心の呵責からベトナム戦争の戦友で事件の事を知らないマイケルの弟デヴィッドにピザ欠片を渡そうとするも、裏切りを知ったマイケル一味によって殺される。かろうじて逃げ出したピーターの娘アニーはピザ欠片を持ってデヴィッドの元へ。
「ここは危険だ、兄のマイケルのところに行こう、あそこには君と同じ年頃の子供たちもいるしね」
何も知らないデヴィッドとアニーは主犯格マイケルの豪邸へ行き共同生活が始まるのでした。

このデヴィッドがマーシャルアーツの達人で、彼の強さに魅力されたトニーとチャーリーはデヴィッドに弟子入り。
レンガブロックの角にスネを当て正座するキツい修行、時にはサボり、ふざけて『ベスト・キッド』の鶴のケリをマネたりとコミカルな修行風景は往年のカンフー映画を思わせます。

こうして強くなったトニーとチャーリーは強盗団一味のタンクと戦うも、彼は盲目の母親と二人暮らしで止む終えず悪の道に走った事を知りタンクと和解。タンクの協力を得て事件の真相に迫ります。

キー・ホイ・クァンのファイトスタイルが蹴りの達人レオン・タン師匠ゆずりなだけに蹴り足がよく上がること。これが『エブエブ』でも健在かどうか、気になるところです。


オリジナル版『太極八蛟/The Flash Legs』のほうも見たんだけど、財宝の在り処を握る鍵となるのは6等分にしたピザではなく8等分にした太極八掛(風水の八角形板)で、少年兄弟格闘試合のくだりなどは全くなく、鍵を持つ8人組強盗団エイト・ドラゴンを主演のレオン・タンが追うカンフー映画。
レオン・タンに想いを寄せる女性の父親が実は強盗団主犯格だったり、仲間の一人(ジャッキー映画好敵手でお馴染みカムコンさん)の母親が盲目だったりとオリジナルとリメイクを見比べするのがなかなか楽しかった。


この『炎のマーシャルアーツ』については、キー・ホイ・クァンが『グーニーズ』に出演して日本で人気がでた頃に映画雑誌「ロードショー」の次回作記事で、キー・ホイ・クァンがテンリングスを腕に付け上半身裸で修行している最新フォトショットが紹介されてたんです。結局、映画は日本公開されずにキー・ホイ・クァンも忘れ去られちゃったけどね。