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風の中の牝鷄のtiimiのレビュー・感想・評価

風の中の牝鷄(1948年製作の映画)
4.8
小津安二郎監督の作品のすごいところは序盤で既に結末が気になって気になって見るのを止められないところ。しかもじんわりとその状況を作り出す。そして構図が美しくてうっとりする。
これは失敗作だと言われていたけれど私はそうは思わなかった。戦争から戻った夫がとんでもないDV男ではあったけど。今だったら絶対Twitterでつぶやかれてネタにされてるわ..と思うほどの。
でもそれは現代だからこういう「DV最悪〜」なんて感想に安直に辿り着くのかもしれない。
戦争も戦場も経験していない私たちがあの男の気持ちをどう理解できよう。
命を落とすかもしれない状況で心の拠り所であった家族。妻のしたことを理解したくても心がそうはさせない。人間の心はそう簡単じゃない。もちろん手をあげることはありえないけれど夫のみをクズ扱いできない背景がある。

過酷な時代を過ごした人間が作りそして平和な時代の私たちが映像を通して見て感想を抱く。時代と共に変わるものを映像に収めてくれる小津監督が大好きだ。
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