鰹よろし

ディープ・コア2002の鰹よろしのレビュー・感想・評価

ディープ・コア2002(2002年製作の映画)
3.3
 その道の権威であり政府お抱え御用学者である父と、同じ道を進んでいるもアウトサイダーな娘。事態を正確にお伝えすべく専門用語に固執する父と、相手の理解やイメージを優先しざっくばらんな表現にまとめられる娘。

 一見正反対に見えるが、自ら危険な現場に赴く様や、地球が見舞われる事態の予測と対策の見解の一致、口を開けば皮肉交じりの物言いと、素直になれないだけで彼らは明らかに似た者同士である。しかし互いの違いにばかり目を向け、いや同族嫌悪なのか、劇中ずっと行動を共にするもいがみ合っている...

 かつて大統領夫人を誘惑したこともある畏れ知らず。今尚 “地球の生理だ!” ”彼女のIQはお前の精子以上だ!” と、ユニークな発言に事欠かず、付き合いのある連中も一癖二癖、どころじゃない。しかし将軍からは最高の男と称され、仲間からの信頼も絶大。年頃の娘がいるとは到底思えないが、言動の端々に子煩悩な姿を垣間見る。

 対し、父と離れ叔母と暮らしている娘。仕事の都合で致し方ないのだと割り切りつつも、その状況を是としたくない反動からだろう、悪友とつるみ叔母を困らせている。それでもやはり根は真面目なのだろう、約束の時間は守ろうとするし、叔母を守るために躊躇無く体を張る。父との連絡を絶やすまいと、父からの誕生日プレゼントである最新鋭の携帯を使いこなす父親想いな面を見せる。

 彼らは劇中離れ離れであり、中々顔を突き合わせることが無く、電話やメールもすれ違ってばかりだが、確かに親子であるとする類似点(繋がり)が見出されていく...

 この二組の親子(父と娘)の交錯の中で、一方の親子関係からでは窺い知れない父と娘のそれぞれの心情を、もう一方の親子関係で補い且つ補い合い、その互いの気付きにより家族の見つめ直しを図らせていく作劇は非常に面白く見応えがある。

 また...、

 本音は、「てめぇら中国が調子こいてっから俺らアメリカにしわよせが来てんだよ、ざけんな(# ゚Д゚)」

...と諸悪の根源、絶対的な悪を据えていることでの安心安全の家族ドラマの様でいて、

 建前上、「お中国様のお尻拭いは我々アメリカがいくらでもして差し上げます。お互い様じゃないですか~(´▽`*)」

...と父と娘の関係からの国と国の、アメリカと中国の関係性へと昇華を狙っていないでもない様でまたない様には興奮を禁じ得ない。

 取り敢えず中国が悪い。


「インデペンデンス・デイ」(1996)...「ザ・コア」(2003)...「滅亡の黙示録」(2008)...「アルマゲドン2009」(2009)...
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