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スペクトルのEikeのレビュー・感想・評価

スペクトル(2016年製作の映画)
3.2
2016年の作品ですが元々はUniversalが製作したものの劇場公開を見送った結果Netflixが買い取って独占配信した作品。
この時点ではまだNetflixオリジナルの作品もまだ今ほどではなかった気がします。
ですから未公開作で「期待せず見たら意外に面白かった」というB級映画本来の(?)醍醐味を与えてくれた気がしてちょっと肩入れしたくなりました。

内戦状態に陥った東ヨーロッパの某国に治安回復のため派遣された米国の特殊部隊がそこで未知の脅威と遭遇し危機的状況に。
事態の究明と対策を念頭にDARPA「国防高等研究計画局」から光学分野のプロが派遣され、謎の存在の正体に迫るも「敵」はとんでもない相手であった…

という内容はいかにも「マンガ」なのだが、そこはB級映画でもアメリカのメジャースタジオのプロダクションはしっかりとしております。
市街地における戦闘シーンの物量をかけた見せ方やCGの使い方も7年前の作品でありますが問題なく見れると思います。

主演がJames Badge Daleで、脇をEmily MortimerとBruce Greenwoodが固めているということで「華はない」が非常に安定感があります。
この配役では劇場公開は難しいと思われたのかもしれませんがB級映画でも演技面で基礎がしっかりと手堅い、こうした人材が供給可能である点がやはりアメリカ映画界の下支えになっている気もする。

本作、お話が「面白い」。
アメリカ映画ではお馴染みの軍事作戦の中に「超自然」の要素が入って来るという展開も工夫があって普通に興味を掻き立てられました。
もちろん、かなり強引ではありますが近年のアメリカ製のコミックのキャラクターを中心に据えたブロックバスター作の多くが、お話自体はもうかなり便宜的に処理され過ぎている気もする訳で、それに比べると創意工夫が感じられるだけでもポイントを差し上げたい気分です。
実体をもたない「幽霊軍団」とどう戦うのか、そもそも彼らは何者なのか?
といった物語のベースが明確なのでクライマックスに向けて展開がぶれないのがありがたい。

それと直接的な物ではありませんが、やはり日本のアニメや漫画の影響を感じ取ることができるのも興味深い。
クライマックスの研究所のシーンは「AKIRAじゃんか」などと感じてしまいました。
実際、日本のアニメがストリーミングメディアで世界中に広がり、漫画がMANGAとして通じる時代が到来した訳で、その影響は今の若い世代から生まれて来る次世代のクリエイターの時代にはより如実になるのではないかと言う気がします。
漫画的な描写やこだわりを映画としてどう反映するかについて、考えさせられた一本でした。
気楽な気分で見る分には十分たのしめるのではないだろうか。
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