ペコリンゴ

レッド・アフガンのペコリンゴのレビュー・感想・評価

レッド・アフガン(1988年製作の映画)
3.8
記録。
ゴリアテに下る鉄槌。

1988年全米公開の戦争映画。ソ連によるアフガニスタン侵攻を題材にした戯曲が原作であり、日本劇場未公開ながら見応えのある良作。

ソ連の戦車隊によって壊滅に追いやられる集落。人のみならず家畜まで殺されてそこら中に横たわり、民兵のリーダーであった男も拷問の末に死亡。新たにリーダーとなった弟は復讐を誓う。そんな中、撤退した隊からはぐれた戦車が一台。怒りに燃えた民兵は、この戦車と乗員をターゲットに定めた…。

戦車隊による殺戮描写がかなり非人道的で鬼畜。そりゃ民兵もキレるって。本作はアメリカ映画だが、ひょっとして米ソ冷戦の影響でエグめの描写にしたとかあったんだろうか?まぁ演じてるのはアメリカ人俳優、喋ってるのも英語なんですけどね。民兵は現地の言葉で喋るのに。ちなみに民兵の新リーダーを演じてるのは『スカーフェイス』でパチーノの相棒役だったスティーヴン・バウアーです。

見所はズバリ、バカな上長の無能な舵取りがチームにもたらす悪影響。僕は幸いなことに上司には恵まれていて上の人間のせいで困った経験は殆ど無い。だけどこの作品の隊長は過去の栄光から来るプライドばかりが高くて実は目も当てられない程の無能だ。しかも軍隊は上官には絶対服従が鉄則。こんな奴に従うなんて悪夢以外の何者でもない。

隊長にはイライラさせられっぱなしではあったけど、砂漠地帯で繰り広げられる戦車vs人間の戦いはスリリングで迫力があったし、リベンジものとしてのカタルシスもなかなかのもの。

隠れた佳作という表現がピッタリの作品でした。