半兵衛

レッド・アフガンの半兵衛のレビュー・感想・評価

レッド・アフガン(1988年製作の映画)
3.5
ソ連によるアフガニスタン進行を題材にした戦争映画、ロシア人をアメリカ人俳優が演じてしかも英語で喋っているので全く雰囲気が出てこないという難点はあるがそれでも一般人を巻き込んだ武力活動が復讐を呼びそれが連鎖となって戦争に参加する兵士への負担になっていく展開を淡々と伝える語り口は圧巻。またロシア人側もアフガニスタン側もどちらも中立的に描いており、極端な感情移入を許さない辛口なスタイルは個人的に好み。

一台の戦車に乗った部隊が道に迷い、いつしか敵に包囲されていくというストーリーは『サハラ戦車隊』を思わせるが、あれよりもっと非情で部隊長はいかれた戦争狂、おまけに水や食料はおろか燃料や武器まで欠乏して部隊長は何かあるとそれを口実に部下をどんどん処刑していくのが怖い。唯一の常識人である主人公(ジェイソン・パトリック)も隊長にリンチされ殺されそうになったことを切っ掛けに復讐を誓ったりと混沌としている。また敵も味方も戦車に踏み潰されたり爆弾に触れて手足が吹っ飛んだりとゴアな描写を遠慮無くやっている。

アフガニスタンで新たにリーダーとなった青年が一番の常識人で人懐っこいけれど、戦争なので死んだ仲間のためにロシア人の乗った戦車を破壊しようとするなどやはりクレイジー。

出口のない砂漠での死闘の非情すぎる結末に息を呑む、そして仲良くなった主人公とアフガニスタンのリーダーの結束が脆くも崩れ去る「現実はこうなるしかないよね」という超辛口なラストに唖然。
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