シズヲ

西部の無頼人のシズヲのレビュー・感想・評価

西部の無頼人(1968年製作の映画)
3.4
「クレイトン 憎しみを忘れなさい」と主題歌は囁くがきっちり恨みを晴らしに行くマカロニ・ウエスタン。ニヒルで不敵だった『さすらいの一匹狼』とはまた違うクールな雰囲気のクレイグ・ヒルや美しくも薄幸な佇まいのレア・マッサリの主演陣はなかなか魅力的。(効果的かと言うと微妙だけど)ダイナミックなクローズアップなど撮影も所々で印象に残り、朝焼けの荒野を二人で往くオープニングや晴天を背に怨敵を見下ろす主人公といったカッコいいカットがちらほら見受けられたのがグッと来る。何とも言えぬ物寂しさ漂う音楽も味わい深い。

主人公は典型的マカロニの例に漏れず早撃ちの達人だけど、こいつ不意打ちに弱すぎるんだよな。背後から殴られて不覚を取る場面が何度もあるので段々切なくなってくる。ストーリーは南北戦争絡みの復讐劇で特に取り立てて優れた点も新鮮味も無いものの、主人公が仇討ちを遂げた途端に残りの悪党共が勝手に自滅を始めたのがやたら面白い。「復讐終わったんでコイツらも適当に処理しとくわ」と言わんばかりの予定調和ぶりが微笑ましい。風と共に飛んでくる金をかき集めて大喜びする主人公も何だか妙な趣がある。何はともあれ結果オーライだ。
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