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Dr. M/ドクトル・エムのnyakoのレビュー・感想・評価

Dr. M/ドクトル・エム(1990年製作の映画)
4.3
シャブロル監督の世紀末ムード漂う映画。
フリッツ・ラング監督のドクトル・マブゼオマージュらしい。

「皆さん、笑って1日を迎えよう」
そんな番組があちこちの家のテレビ、運転してる車のラジオを通じて流れていた。
それを聞いた者たちが次々と自殺していく様子が描かれるショッキングな序盤。
黒煙と燃え盛る建物にタイトルイン、カッコいいです!

ベルリンでは多数の自殺者が問題となり、自殺病と言われていた。
それはウイルスが原因か、それとも西による
破壊工作かとも噂され…。
自宅を燃やす人、列車に身を投げる人、病人を運ぶ救急車まで建物に突っ込み、大惨事も引き起こし…死者は400人を超えていた。

事件を捜査する警部補ハートマン。
事件の裏にきな臭いものを感じ、たどり着いたのはテラトスという会社。
そして会社の広告塔を務めるモデルのソニアを捜査するうちに2人は惹かれあってゆく…。

死を扇動する男ドクトル・マーズフェルドをアラン・ベイツ。
ジェニファー・ビールス、アンドリュー・マッカーシーとアメリカンなキャスティングも。

東、西と話してるとこ見るとまだ東西にドイツが分かれていた頃だと思うけど、どこか近未来っぽさ、無機質っぽさも感じられる。
街灯ビジョンに繰り返し映し出される広告、オフィスのセットや低音響くリズムに踊り狂う人々溢れるクラブ。
保養施設の砂漠を無表情でただ往き交うだけの人々。
他のシャブロル作品とは違った感触なんだけど、漠然とした不安な気持ちにさせられるのは一緒。
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